「わたしは、にんげんです」と訴え、日本で生活保護を求めていたガーナ人のジョンソン・クワクさん。
2026年9月9日に最高裁が上告を退けたこともあり、SNSでは、なぜガーナへ帰国しないのかという疑問が出ています。
本人側が日本での生活を求めてきた大きな理由は、命をつなぐ透析治療を、母国で継続することへの不安です。
ただ、ガーナの医療制度にも変化があり、過去の説明だけでは見えてこない事情もあります。
この記事では、クワクさんが帰国しない理由として伝えられてきたことや、来日から生活保護を求めるまでの経緯を見ていきます。
ガーナ人ジョンソン・クワクはなぜ帰国しない?
ガーナ人男性、日本で生活保護を受けて、週3回人工透析を受けなければ死ぬと訴え「わたしは、にんげんです」「いきるけんり」 最高裁は9月9日、上告を退けました。 https://t.co/H61rItMhHl
— ツイッター速報〜BreakingNews (@tweetsoku1) October 24, 2026
クワクさんが帰国しない理由として報じられてきたのは、ガーナの透析施設や費用の問題から、必要な治療を続けるのが難しいという事情です。
「母国に帰ればよいのでは」と思う人がいるのも分かりますが、本人側が心配しているのは、帰国後も治療を受け続けられるかという点でした。
週3回の人工透析が必要とされている
クワクさんは来日後に腎臓の病気を患い、人工透析が必要になりました。
2024年8月の弁護士JPの報道では慢性腎不全を発症したとされ、週3回の透析が必要な状態だと紹介されています。
日本で療養するための在留資格も認められ、治療を続けてきました。
帰国するとなれば、その先の病院や通院費用、継続して受け入れてもらえる体制まで必要になります。
一度だけ治療を受けられれば済む話ではないところが、この問題の難しさですね。
ガーナでの治療費や施設不足が理由と説明されてきた
弁護士JPの2024年8月の記事では、ガーナの透析施設が十分でなく、費用面でも治療を受けられる人が限られることが、日本に住み続ける理由として伝えられました。
ここで押さえたいのが、その説明がされた後、ガーナで透析の無償化が進められていることです。
ガーナ通信社は、同国の国民健康保険当局が2024年12月から無料の透析プログラムを始めると発表したことを報じています。
さらに2026年4月の報道でも、無料透析制度によって治療へのアクセスが改善したとする患者団体の説明が紹介されました。
ただ、同じ患者団体は、透析機器の不足や長い待ち時間も問題にしています。
制度ができたのなら帰国できるのでは、という疑問も出てきますが、クワクさん本人の受け入れ先や必要な治療回数が確保されたとの公表は確認できませんでした。
現在の状況を「ガーナでは透析が一切できない」と説明するのは正確ではなく、本人が継続して治療を受けられるかが気になるところです。
ジョンソン・クワクの来日理由は?どんな人物?
クワクさんの当初の来日目的は、留学です。
報道で公表されている名前は、シアウ・ジョンソン・クワクさんです。
| 項目 | 公表されている内容 |
|---|---|
| 国籍 | ガーナ |
| 来日時期 | 2015年2月 |
| 来日当初の在留資格 | 留学 |
| 来日後の生活 | 日本語学校で学び、卒業後に就労 |
| 病気 | 慢性腎不全と報道 |
| 裁判で争った相手 | 千葉市 |
弁護士JPによると、日本語学校に通っていた時期には、留学の在留資格で認められた範囲でアルバイトをしていました。
卒業後は就職し、就労可能な在留資格に変更して、会社のフルタイム従業員として勤務していたとされています。
最高裁の決定文にも、留学で来日し、その後「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に変更して働いた経緯が記されています。
生活保護を求めた場面だけが広がっていますが、日本で学び、働いていた時期もあった人なんですね。
ジョンソン・クワクが生活保護を求める事情は?
生活保護を求めた背景には、治療のための滞在は認められても、働いて生活費を得ることは認められないという事情があります。
最高裁の決定文によると、クワクさんには「特定活動」の在留資格が認められ、療養や日常的な活動が指定されていました。
その指定からは、収入を伴う事業や報酬を受ける活動が除かれています。
体調の問題に加え、在留資格の条件も、自分で収入を得る際の壁になっていました。
2024年8月の会見報道では、住居や光熱費などについて支援者の援助を受けて暮らしていると紹介されています。
代理人は、その援助がいつまで続くかは保証されないと指摘していました。
病院に通うにも、住まいや日々の食事が必要ですから、治療を受けられるだけで生活全体が成り立つわけではありません。
2026年10月のダイヤモンド・オンラインの記事で紹介された本人の陳述には、将来は働いて生活費を稼ぎたいという希望も記されています。
本人側は、病気になって働けなくなった外国人にも、生活を支える保護を認めてほしいと訴えてきました。
ガーナ人男性の生活保護裁判はどうなった?経緯を時系列で
裁判は、2026年9月9日の最高裁決定で、男性側の敗訴が確定しました。
来日から今回の結論までには、次のような経緯があります。
| 時期 | 主な出来事 |
|---|---|
| 2015年2月 | 留学の在留資格で来日 |
| 日本語学校卒業後 | 就労可能な在留資格に変更し、会社で勤務 |
| 2018年ごろ~2019年 | 体調を崩し、2019年に人工透析を開始 |
| 2020年9月 | 治療目的の在留が認められたと報道 |
| 2021年11月18日 | 今回の訴訟につながる生活保護申請 |
| 2021年12月1日 | 千葉市が申請を却下 |
| 2021年12月14日 | 千葉市を相手に提訴 |
| 2024年1月16日 | 千葉地裁で男性側の訴えが退けられる |
| 2024年8月6日 | 東京高裁でも男性側の訴えが退けられる |
| 2026年9月9日 | 最高裁が上告を棄却 |
2026年10月にSNSでこの話を知った人もいると思いますが、最高裁の決定自体は9月のものです。
生活保護申請が却下された理由
千葉市が申請を却下した理由は、大きく二つあります。
- 生活保護法に基づく保護では、外国籍の本人が同法の「国民」に当たらないこと
- 外国人への行政措置としての保護でも、本人の在留資格が対象の要件に該当しないと判断されたこと
ここで混同されやすいのですが、外国人に対する保護がすべて禁止されているわけではありません。
1954年の厚生省通知には、生活に困窮する外国人に対し、日本国民への生活保護の取り扱いに準じて、必要と認める保護を行う仕組みが示されています。
ただ、クワクさんについては、その行政措置の対象にも当たらないとされたため、裁判で争うことになりました。
最高裁では三浦守裁判官が反対意見を述べた
最高裁では上告が棄却されましたが、三浦守裁判官の反対意見も付いています。
三浦裁判官は、少なくとも今回のような療養目的の在留資格を持つ外国人などを保護の対象から除外する部分は憲法に違反すると考え、審理をやり直すべきだという立場を示しました。
反対意見では、多数意見が外国人を対象としないことの合憲性を判断したわけではない点にも触れています。
敗訴という結論になったものの、裁判官の意見まで全員同じだったわけではなかったのです。
ジョンソン・クワクの生活保護訴訟に寄せられた世間の声
2026年10月24日の関連投稿で公開されていた返信3件には、母国の責任や、生活保護の受給についての意見がありました。
内容を要約すると、次のような反応です。
- 生きる権利はガーナ政府に守ってもらうべきだという意見
- 生活保護を認めないことが、生きる権利の否定になるのかという疑問
- すでに生活保護を受けていると受け取り、給付に疑問を示す意見
この3件では、誰が生活を支えるべきなのかという点に関心が向けられていました。
気になったのは、受給中だと受け取られているコメントもあったことです。
今回争われたのは、生活保護申請を却下されたことについてで、受給を認められた裁判ではありません。
制度への疑問を持つときも、本人が実際に受けている支援や、裁判で求めた内容は正確に知っておきたいですね。
ジョンソン・クワクについてよくある質問
今回の話題では、生活保護の受給状況や、在留資格も誤解されやすいポイントです。
日本で生活保護を受けているの?
今回の申請は却下され、裁判でも受給を認める結論にはなっていません。
2024年の会見報道では、支援者から住居や光熱費の援助を受けていると紹介されていました。
現在も不法滞在なの?
少なくとも2026年9月の最高裁決定で示された事情では、在留特別許可を受け、「特定活動」の在留資格で滞在しています。
過去に在留資格を失った経緯は記されていますが、今回の裁判で扱われた時点では、療養のための在留資格がありました。
最高裁から帰国を命じられたの?
今回の裁判は、生活保護申請の却下を取り消すことや、保護を始めることなどを求めた裁判です。
最高裁が上告を棄却したことを、そのまま帰国命令が出たという意味で受け取ることはできません。
まとめ
ガーナ人のジョンソン・クワクさんが帰国しない理由として伝えられてきたのは、母国で必要な透析治療を継続する難しさでした。
- 2015年に留学で来日し、日本語学校卒業後は日本で働いていた
- 来日後に腎臓の病気を患い、週3回の透析が必要になった
- 療養目的の在留資格では就労が認められず、生活保護を求めた
- 2026年9月9日の最高裁決定で、男性側の敗訴が確定した
- ガーナでは透析の無償化が進んでいるが、機器不足などの課題も報じられている
「なぜ帰らないのか」という疑問の先には、帰国後も治療と暮らしを続けられるのか、という課題がありました。
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